クルマの防音材・断熱材はたくさんの種類があります。
「どれがいいのか分からない」と思っているあなた。今回私なりに「コレはイイ!」と思ったものをまとめたので一気に紹介しますね。
最後に予算別・部位別のレシピも紹介してますのでお見逃しなく!
デッドニングの効果を最大に引き出すためにクルマ専用の材料を使おう
音と熱は小さな隙間からでも入ってきます。徹底的に防音断熱したければ車内全体を覆ってしまうのが1番。
しかし、車のドア・屋根・床って不規則な形や狭いスキマばかりで全体を覆うのはかなり大変。
その悩みを解消してくれるのがクルマ用の防音・断熱材。
こういった特徴があるんですね。当然、作業時間の短縮にもなります。
建築用のグラスウールを使っている方もいますが、これって大判サイズで好きな形に切り取って使うことができないので使い勝手が悪いのです。
また水に弱いので水分を吸収した結果、車内がカビ臭くなったり、ドアの内側が錆だらけになってしまうことも。ドアの内側は寒暖差で「結露」が発生しやすい場所だけになおさらです。
クルマ用に開発された素材なら結露対策もばっちりなので出来る限り専用品を選びましょう。
制振・吸音・遮音・断熱の順番は?
基本は
- 制振
- 吸音・断熱
- 遮音
の順が一番効果的と言われています。
制振材で大きな音を消す→吸音材で残った音を吸収(主に高音)→吸収できなかった残り(低音)を遮音材で遮る。といった感じ。
2の吸音と断熱が同じなのは、吸音材と断熱材は同じ素材の場合が多いから。
つまり「吸音性」がある素材は「断熱性」も有していることから一緒にしました。
制振材
音は振動で発生します。その振動を抑えることが「防音」につながります。
制振材は車の鉄板部に貼り付けることで振動を抑えてくれます。
主流は重量のある金属シートにブチルゴムで粘着性を持たせたものが多いです。
さて、今から紹介に移りますが、好きな形に切れるものを 「切り取りOK」シール面で貼り付けできるものを 「貼り付けOK」
と表記するので参考にしてくださいね!
日東電工 レジェトレックス
デッドニングする上で最も有名なのがこれ。目安として大判サイズ1枚で運転席・助手性フロアをまかなえるくらいです。
鉄板のおよそ30%に貼るだけで十分な制振効果が生み出せます。全部覆う必要はありません!
15年前に「防音」といえばこれなしには語れないほどでそれが今も第1線で活躍しているのはさすがです。
構成は柔軟性のあるアルミ板にブチルゴムの接着面を1.5mm厚のシートにしています。温度領域は0℃~40℃までで熱くなる部分は避けたほうが良さそう。
コストパフォーマンスに優れていますが、このブチルが曲者で、、、手や服に着くとなかなかとれないんです。
もしついたらパーツクリーナーを吹き付けてウエスでこすりましょう。
「切り取りOK」
「貼り付けOK」
積水化学工業 レアルシルト
レジェトレックスと双璧をなす制振材です。今はこちらの方がメジャーではないでしょうか。
素材はアルミと粘着シートの間に樹脂シートを設け、防音性を向上させた作り。
貼り付け面はブチルゴムじゃないので服が汚れる心配はありません。
厚みは1.6mmそして温度領域は80℃まで。レジェトレックスの倍の熱に耐えられますが、その分高価です。
「切り取りOK」
「貼り付けOK」
VELENO デッドニング 高機能制振材
車のLEDを開発するメーカーが投下したのがこれ。
安くて重いのが売り。表は黒いアルミシート、粘着面はブチルなのでレジェトレックスと同じ作りですね。
メリットはブチルがベタベタしないよう独自に改良されている点。服をよごさなくて済みます。
切るときにハサミがくっつかず、さらにマス目加工されているので、線に沿ってまっすぐ切ることができます。
制振材の中では作業性No1です。
「切り取りOK」
「貼り付けOK」
オーディオテクニカ アクワイエ
音響メーカだけあって、カーオーディオの音質向上に的を絞っています。
注目したいのが「ドアチューニングハイグレードキット」。これでドア1枚を完璧にデッドニングできます。
粘着面は 「ヴァージンブチルゴム」という素材で、普通のブチルゴムより比重が高く制振性に優れています。
またハサミで切る時にブチルがくっつきにくい。温度に関わらず高い粘着性を保持できる。など作業性も良いのです。
あくまでオーディオ向けの商品ですが、「制振」も十分期待できます。
「切り取りOK」
「貼り付けOK」
日本特殊塗料 防音一番オトナシート
一箱30㎝×40㎝の5枚入り。前の金属板系ではなく、一枚ものです。
クルマのあらゆる場所に貼れますが、特にエンジンの振動に対しての防音効果を発揮するので、エンジンフードに貼るのがおすすめ。
柔らかく、曲面にフィットしますが気温が低いと粘着性が落ちるので、そのときはドライヤーで温めながら貼り付ける必要があります。
アスファルトのような独特な臭い(やや刺激臭)があり、施工後しばらくとれないので注意。
感想は、「レジェトレックスの方が性能は上かな?」って感じです。ほかの制振材と組み合わせて使うとよさそうです。
「切り取りOK」
「貼り付けOK」
フェリソニDM-0.2(RED) LDM-0.2(Whiie)制振シート
金属面はなくウレタン材や合成ゴムが原料。そのほか独自の添加剤で低音から高音までの幅広い振動をカットします。
DM-0.2(RED)とLDM-0.2(Whiie)の2種類があり厚みは両方2㎜です。
REDの方が高性能。Whiteはコストパフォーマンス重視です。
その違いは添加剤の配合割合。
REDは制振に加え遮音効果もあり、熱に対しての変性も少ないのが特徴。
Whiteは柔軟性を高め作業性が良いのが特徴です。
しかし!Whiteでもレジェトレックスより高価です。
「切り取りOK」
「貼り付けOK」
吸音材・断熱材
お次はこれ、空気層を持たせた厚みのある素材が主流。振動を受けるといくつもの空気層が音を吸収する仕組みです。
一般に吸音材は高音は吸収しやすいけど低音は吸収しにくいといわれてます。
モノによっては厚みがあるので施工する場所に注意が必要。余裕がないところは入りません。
ニードルフェルト
繊維を細かくして圧縮したものです。吸音効果はそれなりですが、安いのが魅力。
厚みは様々ですが本格的に吸音したいのなら10mm以上は欲しいところです。
メーカーによってはシール面のついている商品もあります。
厚みがあるとハサミではなかなか切れません。
そんな時は思いっきり左右に引っ張ってカッターを通すとすんなり切れてくれます。
スポンジ状でものすごく水を吸いそうですが意外と水には強いです。まぁ純正の内装に使用されるくらいなのでその辺は「お墨付き」なんでしょうね。
ただ、ホコリがかなり出ます!作業中はマスク必須です。車内でも剥き出しは避けたほうがいいです。
「切り取りOKだが切りにくい」
「貼り付けできるものとそうでないものがある」
東レぺフシート
これはとにかく作業性が良いのがメリット!カッターで切りやすいし、片面シールで作業時間が短縮できます。
厚みは3mm 4mm 5mm 6mm 8mm 10mmの6種類。しっかりと吸音・断熱したければ10㎜一択だと思います。
柔軟性があるので凹凸のある局面にも貼り付け可能です。
スポンジ状ですが気泡1つ1つが独立しているので吸水、透湿がなく耐水性があります。
吸音材の中では作業性No1です。他の吸音材に比べ価格が高いのが難点。
「切り取りOK」
「貼り付けOK」
3M シンサレート
防寒着や布団の中綿に使われている素材、「軽くて暖かい」をコンセプトに開発された素材です。
ポリエステルより25%軽く保温性能は2倍です。
薄いわりに効果が高いので、厚みの出せない部分にも貼れます。
シール面がないので床面以外ではボンドかテープで貼り付ける必要あり。
一般的に運転席や助手席の足元に敷くことが多いです。
性能は申し分ないですが、個人的には作業性を考えるとペフシートに軍配です。
「切り取りOK」
「貼り付け不可」
ゼトロ 耐熱吸音シート
ロードノイズやエンジンノイズを低減することに特化した商品。厚みは10㎜と極厚の15㎜があります。
吸音率もグラスウールを上回ってます。耐熱性があるのでエンジンフードにバンバン貼れます。
おすすめはハイエースやキャラバンなど室内にエンジンフードがある車。
吸水性があるので湿気にさらされる場所には施工できません。車内用として考えましょう。
「切り取りOK」
「貼り付けOK」
日東電工 エプトシーラー
「すごーく柔らかいスポンジ」といった印象。
ドアや窓(家の)のスキマテープとしてホームセンターで売られているのを見かけます。
厚みは10mm。柔軟性が高いのでスキマに詰め込むことができます。
さらに吸音&遮音(音を遮断する)効果も併せ持っているので、防振シートの上からエプトシーラーを貼れば 防振・吸音・断熱・遮音となり良質なデッドニングが完成します。
もう一つの効果的な使い方は「スキマテープ」で配線を固定すること。
車内の「電気配線」は固定されてない部分が多く、走行時の微振動で何かに触れると音を発します。
あからさまに「カタカタカタ」と聞こえるのは稀ですが、細かいノイズとして耳に入ってきます。
ここに「スキマテープ」が最適な理由は、
- 柔らかいので細い配線にも巻き付けやすい
- 厚みがあるので配線に巻き付けることで隙間が生まれ、ボディに触れなくなる。
- 接触する部分がエプトシーラーなのでノイズが発生しない。
手の届くところだけでもやってみることをおすすめします!
デメリットは
- 年数が経つと素材自体がやや硬くなる。少なくとも新品のようなソフトさが無くなる。
- 長時間潰されると、空気層が元に戻らなくなる。
といった耐久性面にやや不安が残ります。
「切り取りOK」
「貼り付けOK」
フェリソニ V-1 D-1 S-1
各グレードに分かれているのでそれぞれ紹介したいと思います。
フェリソニ V-1
【制振・吸音・遮音・断熱】がこの1枚に凝縮さたハイグレードな素材。
2層構造で、制振&遮音層と吸音・断熱層に分かれています。
厚さ10㎜で、断熱に関してはグラスウール以上。省スペースでの施工性といいまさしくクルマのために開発された製品です。
高価だけに効果はお墨付きです。(失礼しました汗)
「切り取りOK」
「貼り付けOK」
フェリソニ D-1
【制振・吸音・断熱】V-1から遮音を除いた中堅素材 厚さ10㎜。
「切り取りOK」
「貼り付けOK」
フェリソニ S-1
【遮音・吸音・断熱】
こちらはV-1から制振を除いた素材。厚さ10㎜。粘着面のないS-07もあり。
D-1・S-1は場所によって使い分けるのがよさそう。
考えるのが面倒なら全部V-1で覆ってしまいましょう!(お金に余裕があればですが笑)
「切り取りOK」
「貼り付けOK(S-07は不可)」
遮音材
重量のあるゴムマットのようなものが主流、主に低音をカットしてくれます。
先ほどクルマ専用のものをと言いましたが、遮音材に関しては基本マット状なので施工性が良く、建築用でもOK。
デメリットは柔軟性がなく曲面は施工しづらいこと。シール面がないのもウィークポイントです。
平面向きなので。フロアに敷くのが一般的。床の広い1BOXはかなりの効果を期待できると思いますよ!
三菱ケミカル シャオンスター
高密度充填プラスチック素材のシートです。
厚さ1.2㎜。940㎜×10mで20キロの重さ!
低音をシャットするには振動に負けない「重量」が必要なんですね!
作業性が良く、カッターで簡単に切れます。
「切り取りOK」
「貼り付けなし」
大建工業 遮音シート940SS
1.2㎜の厚さでシャオンスターとほぼ同じ素材です。
さらに厚みのある455Hというのもあります。
遮音性はこちらのほうが上ですが、厚さが2.8mmもあり非常に重いので施工性が悪いです。
しかもゴム臭がかなりするので車内などの閉鎖空間にはおススメできません。
無難に940SSを使用することをおススメします。
個人的にはシャオンスターと「同じもの」として捉えています。
「切り取りOK」
「貼り付けなし」
ノックスドール オートプラストーン
スゥエーデンのボルボ社が純正で採用している実績があります。
これはタイヤハウスや下回りなど「外から」塗り付ける遮音材です。
本来の目的は防錆ですが、半永久的に柔らかさを維持するのでロードノイズや飛び石などの音をシャットします。
ただ、順序として制振材より外側になるので、遮音というよりは制振の補助として考えたほうがよさそうです。
糊状で刷毛やヘラで塗り付けます。タイヤハウスなら2缶あれば足ります。
スプレー式もあり、奥まった箇所や塗りにくい部分が多ければこちらのほうが楽です。
しかし、塗り付け式よりやや割高になります。
エーモン静音計画 タイヤハウス静音スプレー/2680
ノックスドールと同じくボディ外側に塗るタイプの遮音材。
1台のタイヤハウスに2本必要です。
厚みとクッション性がある被膜ができます。厚さ5㎜くらいを目安に吹けば十分。
ノックスドールも同じですが、スプレー式なので、厚塗りすると垂れます。何回かに分けて重ね塗りするといいです。
当たり前ですが吹き付ける前は脱脂、マスキングをしてから行いましょう。
スプレー式は吹くのは簡単ですが下準備が大変なんですよね。地道ですが塗り付け式の方が作業性はいいかもしれませんね。
この手の商品、個人的にはノックスドールオートプラストーン一択です。
予算別の静音化レシピをご紹介!
フロアを防音断熱する場合の組み合わせを予算別にしてみました。
フロアの広さは車によって異なるので値段はおおよその値です。
それではいってみましょう。
3~6万 コスパ重視!とりあえずチャレンジ仕様
- 制振材 レジェトレックス
- 吸音・断熱材 ニードルフェルト
- 遮音材 シャオンスターor大建遮音シート940SS
安価ですがデッドニングの基本を押さえた組み合わせです。ニードルフェルトをエプトシーラーに変えて、遮音シート無しでもいいかなと思ったんですが、きちんと段階を踏むことに気を配りこの形に落ち着きました。
6~10万 クルマを快適空間に!ちょっと背伸び仕様
- 制振材 レアルシルトの上からオトナシート
- 吸音・断熱材 エプトシーラーorシンサレートor東レペフシート
- 遮音材 シャオンスターor大建遮音シート940SS
レアルシルト&オトナシートで 制振性を向上させました。これだけでかなり違いが出ます。吸音材は好みでいいと思いますが10㎜以上をチョイスしましょう。
10万~ 目指せ高級車!離れてもヒソヒソ話が聞こえる仕様
- 制振材 フェリソニDM-0.2(RED)の上にオトナシート
- 吸音・断熱材 フェリソニS-1
- 遮音材 シャオンスターor大建遮音シート940SS
- 車外 ノックスドールオートプラストーン
ここまでするとロードノイズもかなり低減されます。ハイグレード素材「フェリソニ」をふんだんに取り入れてます。ノックスドールはタイヤハウス以外の下回り全て(高温部以外)に施工します。
これだけ敷き詰めるとカーペットのピンがはまらなくなる可能性もあります。
その場合どれを減らすか?ですが、個人的にはフェリソニS-1をペフシート3~4㎜に変えるか、オトナシートを諦めるかですかねぇ。
部位別のおススメレシピ
クルマの部位によって適したものとそうでないものがあります。ここでは、
・ルーフ
・ドア
・ボンネット(エンジンフード)
に分けてそれぞれに適した素材を組み合わせてみようと思います。
天井は断熱性を重視・雨音対策も
ルーフは鉄板とトリムの隙間が比較的広いので厚みのあるものが入る場合が多いです。
重要視したいのは ズバリ 断熱!
屋根は太陽光が常に降り注ぐので断熱性を重要視します!
- 制振材 レジェトレックス
- 吸音・断熱材 東レペフシート10㎜or フェリソニS-1
- 遮音材 なし
遮音材は貼り付けできないので無しにしています。
どうしても必要ならレジェトレックスの上にエプトシーラーかフェリソニV-1ですかねー。
ドアのデッドニングでオーディオの音質をアップさせよう
ドアはスピーカーがあり、オーディオの質向上には欠かせない部位。
風切り音などもドアから入ってきます。鉄板の面積も広いので断熱もしっかりしておきたいですね。
インナードアにあるサービスホールもきちんと塞ぎましょう。
- 制振材 レアルシルトの上にオトナシートorフェリソニV-1orアクワイエ
- 吸音材 エプトシーラー
- 遮音材 なし
安く仕上げたいのなら レジェトレックスとエプトシーラーだけでもいいかもしれません。
ボンネットは過酷な環境、ぜひ高性能なものを
エンジンからの熱・ノイズをもろに受ける場所。熱に強い素材選びが重要です。
- 制振材 レアルシルト
- 吸音材 ゼトロ耐熱吸音シート
車内にエンジンフードがあるハイエース・キャラバン・軽トラ・軽バンなどの1BOXタイプの場合
座席の下にエンジンがあるので音と熱が直に入ってきます。この場所をしっかり処理することで驚くほど快適になりますよ!
手厚い仕様にすることを提案します!
- 制振材 レアルシルトの上にオトナシート
- 吸音材 ゼトロ耐熱吸音シート
- 遮音材 シャオンスターor大建遮音シート940SS
- エンジン側 エーモン静音計画 エンジンルーム静音シート
まとめ:デッドニングは奥が深い!試行錯誤しながら自分なりのデッドニング方法を探してみよう!
いかがでしたか?
一口に防音・断熱といっても色々な素材がありますよね!
もしやるなら店に頼まずDIYに挑戦することをおススメします!店に出すとその分手間賃がかかりますし、材料も決して安くはないですしね!
それにDIYでやれば愛車がもっと愛おしく思えるはずです!
レッツ トライ!
・好きな形に切り取れる
・片面がシールで天井や壁に貼り付けできる
・湿気を吸収しにくくカビや錆びが発生しにくい